2007-02-01から1ヶ月間の記事一覧

恩田陸「夜のピクニック」

当たり前のようにやっていたことが、ある日を境に当たり前でなくなる。こんなふうにして、二度としない行為や、二度と足を踏み入れない場所が、いつのまにか自分の後ろに積み重なっていくのだ。卒業が近いのだ、ということを、彼はこの瞬間、初めて実感した…

小林秀雄全作品から(10)「ゴルフ随筆」

このべらんめえな感じがちゃきちゃきの江戸弁というものなんだろうか。落語をきいているような、そんな気分になる。 昭和29年(1954)10月、「小説新潮」に発表 もともと、今ちゃんには買い物の癖があるのだが、こういう次第になると、いよいよこの癖がつのり…

V・ウルフ「私ひとりの部屋」

封建的な日本の家父長制度の中にも同じものを見ることが出来る。「おい」「めし」「ふろ」で全てが通用していたというのは、今となってはにわかに信じ難いものである。 V・ウルフ「私ひとりの部屋」 高校生のための文章読本 より 女性は過去何世紀もの間、…

今日の短編(60)トルーマン・カポーティ「感謝祭のお客」

一日がスタートする朝食を抜いて、昼はさくっと、で、夕食が一日で一番立派な食事に、なんてことが社会人になってから何年も続いていた。回りを見ても結構そんな風な人が多かった。でも実際のところ、夕食のあとはたいしてカロリーは使わないで眠るだけなん…

前任校の4送会に行ってきました

昨年の同僚と一緒に前任校の四年生を送る会に行き、ホンの少しだけ出場させてもらいました。生徒達は異動した僕らが現れるとはまるでおもっていなかったらしく、大変に驚いて歓迎してくれました。 サプライズの1分ちょっとで、生徒達には会わないで帰るつも…

ThinkPad X40 の液晶が復活しました

ThinkPad X40 の液晶が表示されなくなりました - 繭八庵@Hatenaで書いたように突然消えた液晶ですが、数日前に復活しました。朝晩の電源オンオフを繰り返しているうちに、何日目かの電源オンで、液晶表示が復活しました。接触不良だったのかそうでないのかは…

妻が作ったひな人形

妻の実家にこの時期飾られているひな人形です。小学2年生の時にお母さんと一緒に作ったとか。お内裏様とおひな様、3人官女もいます。こうやって作るのも良いなと思います。次女のおひな様買わずにこういうのも良いかなぁ。悩ましい処です。

百人一首で勝負!

先日小学校1年生の娘とやってみたら、思いのほか楽しんで出来たので、今日もやろうと、持ちかけたら、「今日はいい」といわれてしまいました。誰かに読んでもらうとなると、なかなか出来ないので、iTunesStore で小倉百人一首の朗読を発見、即購入して準備…

加藤周一「スペイン旅情」

10年ほど前に妻とヴェネツィアに行った時のこと。その直前までパリに数日滞在していて、パリではレストランやカフェに行くと、日本語はもちろん通用しないし、英語も(もともと頓珍漢なんだけれど)、片言でもフランス語じゃないとやーだもーん、と思ってい…

梅のつぼみがほころんできました

あちらこちらで梅の花が咲いてきているのを目にしつつ、自宅の植物がどうなっているか、目にする機会はあんまりありませんでした。子どもたちとゲンの散歩に行った帰り、庭の梅の木を見上げると、無数のつぼみがふくらんで白い花びらの先をのぞかせていまし…

バッハのインベンションに挑戦中

グレン・グールドのCDを聴いているうちに自分でも弾いてみたくなりました。妻が楽譜を持っていたので、2声のインベンションの1番に挑戦中です。見ると聞くとじゃ大違いと言いますが、聴くと弾くのではまた大違いで、もつれにもつれる指に四苦八苦していま…

ひな人形を飾りました

上の娘のひな人形を飾りました。今年は少々湿っぽかったのでカビが心配でしたが大丈夫でした。初めての子どもで、かなり気合を入れて岩槻の人形店を何件も回って探したのを覚えています。下の娘の初節句用に、又、ひな人形を探しているのですが、なかなか気…

(手帳6)メモと描写

ブログの文章は、直ぐに忘れてしまいそうな些細なことや、日々の思いつきのメモや備忘録や読んだり見たり聞いたり思ったことの記録のストックのようなものだと思う。自分のためには勿論なるし、誰かの役にたったりすればそれは素晴らしいことだろう。そんな…

ピタゴラ装置DVDブック1

ピタゴラ装置DVDブック1出版社/メーカー: ポニーキャニオン発売日: 2006/12/01メディア: DVD購入: 20人 クリック: 606回この商品を含むブログ (376件) を見るいつ買おうとずっと思っていたピタゴラ装置DVDブック1。2が4月出ると知って、じゃあ1を見ようとア…

今日の短編(59) トルーマン・カポーティ「ぼくにだって言いぶんがある」

大真面目なんだけれども、なんだかこっけい。馬鹿にしたい感じじゃなくて。 トルーマン・カポーティ「ぼくにだって言いぶんがある」(My Side of the Matter by Truman Capote) みんながぼくのことをなんといっているか、そんなことはよくわかっている。ぼく…

信州湯の丸スキー場に行ってきました。

息子の園の保護者会の行事で信州湯の丸スキー場に日帰りで行ってきました。 インフォバレー:404 Authorization Required 集合朝6時、片道2,5時間、夕方5時解散でしたから、お昼の時間を抜いて遊べたのは実質5時間弱。娘も息子も初めての雪山を120パーセント…

今日の短編(58) 藤沢周平「ごますり甚内」

今回とみに映像が浮かんでくる描写が多かったような気がします。 甚内は中背で、みた眼にはやや貧弱に思われるほどの細い身体をしている。だが、問題は体躯ではなくて顔にあるだろう。甚内はひと口に言えば、醜男である。出額で、眼が大きく口も大きかった。…

「石井裕 コンピュータ研究者」プロフェッショナル 仕事の流儀 メモ

倉田さん、スピード、スピードが大事です。と以前の同僚が言ってくれたことを思い出す。一度でも体験した疾走感を忘れちゃダメだ。「もっと速く もっともっと輝くまで 俺たちは 走り続けていかなくては」尾崎豊も叫んでいた。非常に刺激的な番組でした。自分…

今日の短編(57) トルーマン・カポーティ「銀の壜」

トルーマン・カポーティ「銀の壜」(Jug of Silver by Truman Capote) アップルシードとその妹がはじめて姿を現したのは、そのころだった。 彼は町では他所者だった。少なくとも彼の顔を見たことを覚えている人間は誰もいなかった。自分はインディアン・ブラ…

今日の短編(56) 藤沢周平「うらなり与右衛門」

赤ん坊や子どもたちを見て、ここが自分に似ている、ここは妻に似ている、祖父に、祖母にと良く話をする。みんな能ある鷹は難とやらだとよいのだけれど。 藤沢周平「うらなり与右衛門」 「顔の長いのは、わしに似たのだ」 と父親の次郎兵衛が言った。 「しか…

ワークアウト前後のトラブル(フリーズ・スリープ不可・無限リセット)を回避するにはどうしたら良いのだろう。

毎日コツコツ2キロずつ程度のウォーキングのお供になっている nike+ipod ですが、困ったことがいくつかあります。 時々スリープ操作が効かなくなる。 時々フリーズしてキー操作を一切受け付けなくなる 時々リセットの無限ループに陥る。 後に行くほど精神的…

今日の短編(55) トルーマン・カポーティ「誕生日の子どもたち」

トルーマン・カポーティ「誕生日の子どもたち」(Childlen on Their Birthday by Truman Capote) 昨日の午後、六時のバスが、ミス・ボビットを轢き殺した。それについてはどんな感想をいったらいいかぼくにはわからない。結局、彼女もまだ十歳の女の子だった…

小林秀雄全作品から(9)「ボオドレエルと私」

昭和29年(1954)4月、「ボオドレエル全集」内容見本に発表 ボロボロになるまで愛読した本なんてこれまであっただろうか。小学生の頃は江戸川乱歩の少年探偵団シリーズと、南洋一郎翻訳の「怪盗ルパン」全集がとても好きだった。中学に入ってから栗本薫の「グ…

「自分の思いを伝える」ために:山田ズーニーさんの2本のインタビュー記事を読んで

山田ズーニーさん次の2本のインタビュー記事を読みました。 NTTファシリティーズ:えふ・マガインタビュー 404 Not Found 普段の一対多の授業では、なかなか深いコミュニケーションに踏み込んでいくことができません。50分の授業では足りない、その部分を質…

今日の短編(54) 川上弘美「長い夜の紅茶」

平凡。ひとくくりにしてはみても、それぞれのあり方は千差万別。 「男なんかと一緒にいて、女が幸せになるものなのかしらと思ってさ」 平凡。わたしはまたその言葉を思う。この夏には、きっとわたしたち家族は二泊くらいで、山か海に行くことだろう。由香里…

今日の短編(53) 石田衣良「恋の主役」

男だから、女だから、ということもないとは思うのだけれども、がしかし、そういうものかもしれない。 なぜ男はわからないのだろう。あなたは考える。一度ほんとうにダメになってしまったら、もうやり直しはきかないのだ。あなたは表情を変えずに、最後のデー…

J・L・ボルヘス「砂の本」

J・L・ボルヘス「砂の本」 高校生のための文章読本 より 「あるはずがない、しかしあるのです。この本のページは、まさしく無限です。どのページも最初ではなく、また、最後でもない。なぜこんなでたらめの数字がうたれているのか分からない。多分、無限の…

埴谷雄高「神の白い顔」

埴谷雄高「神の白い顔」 高校生のための文章読本 より そのとき、鏡の内部へはいりこんだような浮遊物も見当たらぬ透明な水中で平らな水面へ向かって垂直に仰向けになった私の視界いっぱいに映ったのは、思いがけぬことに、それまでまったく覚え知らなかった…

清水邦夫「部屋」

清水邦夫「部屋」 高校生のための文章読本 より 昔の家には、ふだん「使わない部屋」があった。 高校生のための文章読本作者: 梅田卓夫,清水良典,服部左右一,松川由博出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 1986/03メディア: 単行本購入: 13人 クリック: 149回こ…

坂口安吾「私は海をだきしめていたい」

坂口安吾「私は海をだきしめていたい」 高校生のための文章読本 より 私の心はただ貪欲な鬼であった。いつも、ただ、こう呟いていた。どうして、なにもかも、こう、退屈なんだ。なんて、やりきれない虚しさだろう。 私はふと、大きな、身の丈の何倍もある波…