2007-02-14から1日間の記事一覧

恩田陸「夜のピクニック」

当たり前のようにやっていたことが、ある日を境に当たり前でなくなる。こんなふうにして、二度としない行為や、二度と足を踏み入れない場所が、いつのまにか自分の後ろに積み重なっていくのだ。卒業が近いのだ、ということを、彼はこの瞬間、初めて実感した…

小林秀雄全作品から(10)「ゴルフ随筆」

このべらんめえな感じがちゃきちゃきの江戸弁というものなんだろうか。落語をきいているような、そんな気分になる。 昭和29年(1954)10月、「小説新潮」に発表 もともと、今ちゃんには買い物の癖があるのだが、こういう次第になると、いよいよこの癖がつのり…

V・ウルフ「私ひとりの部屋」

封建的な日本の家父長制度の中にも同じものを見ることが出来る。「おい」「めし」「ふろ」で全てが通用していたというのは、今となってはにわかに信じ難いものである。 V・ウルフ「私ひとりの部屋」 高校生のための文章読本 より 女性は過去何世紀もの間、…

今日の短編(60)トルーマン・カポーティ「感謝祭のお客」

一日がスタートする朝食を抜いて、昼はさくっと、で、夕食が一日で一番立派な食事に、なんてことが社会人になってから何年も続いていた。回りを見ても結構そんな風な人が多かった。でも実際のところ、夕食のあとはたいしてカロリーは使わないで眠るだけなん…