別役実「とぜんそう」

大真面目な顔で嘘をつく。信じ込ませることに成功すると、すごく気持ちがよい。ところどころにユーモアが顔を出している。

ともかく、現在《とぜんそう》の栽培は禁止され、我が国では和歌山県農業試験場が実験的に作っているものがあるだけであり、国文学者たちが「古典文学研究のために」という名目で長年にわたってその使用許可を求め続けているのだが、文部省はともかく厚生省がまだ「ウン」と言わない。我が国の国文学者が『徒然草』の真の良さを理解できないのは、そのためなのである。

高校生のための文章読本

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