2007-01-30から1日間の記事一覧

小林秀雄全作品から(7) 「ことばの力」

「ことばの力」昭和31年(1956)2月「子どもとことば」に発表 どこの国の子どもでも、まず数学の記号を覚えてから、数をかぞえやしない。ことばによって数をかぞえて育つのである。この子どもの時のやりかたを、人間は、同じ言葉を使っている限り、大人になっ…

(手帳3)ことばで遊ぶ

大学時代、課題で言葉遊びの作品を作るというのがあった。「倉田が往復ビンタをくらった」「北野が来たのー」という親父ギャク以前の稚拙なものを提出日に50ばかしでっち上げて提出した。先生のコメントに「もうすこしひねりましょう。例 夫「貧乏暮らしに…

別役実「とぜんそう」

大真面目な顔で嘘をつく。信じ込ませることに成功すると、すごく気持ちがよい。ところどころにユーモアが顔を出している。 別役実「とぜんそう」 高校生のための文章読本より ともかく、現在《とぜんそう》の栽培は禁止され、我が国では和歌山県の農業試験場…

モーツァルト「姉への手紙」

モーツァルト「姉への手紙」 高校生のための文章読本より ごきげんよう。ぼくの肝臓(ルンゲル)ちゃん。キスをおくるよ、ぼくの肝臓(レバー)ちゃん。ぼくの胃袋(マーゲン)ちゃん、いつも変わりないあなたのろくでなしの弟、ヴォルフガング。お願い、お…

高橋源一郎「さようなら、ギャングたち」

高橋源一郎「さようなら、ギャングたち」 高校生のための文章読本より そしてわたしは偉大な鉄工所でも働いた。 偉大な鉄工所においては「耳栓」こそが生命と繁栄のシンボルだった。 高校生のための文章読本作者: 梅田卓夫,清水良典,服部左右一,松川由博出版…

筒井康隆「バブリング創世記」

これ、なんどか見たことがありました。最初の数行はへぇと読んでいくのですが、ページ一杯に広がるこのカタカナの圧倒的破壊力を前に、字面をきちんと追いかけて読み進めていく根気を保てない根性無しでした。 筒井康隆「バブリング創世記」 高校生のための…

小林秀雄全作品から(6) 「常識」

やりたいことや知りたいことを探すのに、物理的な距離や、言語は以前と比べてそれほど障害にならない。自分ひとりでの閉じた作業ではなく、誰か他者と何かを一度も会うことなく一緒にすることも容易になった。自分の立っている場所、共同体、社会の常識とい…

小林秀雄全作品から(5) 「読書週間」

子どもの頃から本は大好きだった。気に入った本はその内容が身体のどこかに染み込んでいるだろうと思えるほど、何度も何度も読み返した。大きくなって、読みたい本が加速度的に増え、読める時間がぐんと減って、気に入った本を読み返すことがめっきり減った…