高校教師という職業

 わかるようになって欲しい、できるようになって欲しいと思う。しかし全て教えなければならないとは思っていない。到達して欲しい課題は提示する。最低限と思う説明はする。必要だろうと思う材料、資料は可能な限り用意する。学習の仕方のモデルを提示する。「全員」が課題が達成できることを望むことを伝える。

 だが、具体的にどのような順序で取り組むか、課題をどのように達成するかは生徒にまかせる。一人で取り組むと15分で終わる生徒がいて70分かかる生徒がいる。求めているのは「全員」が課題を達成すること。授業であれば1コマは50分しかない。生徒同士の関係性の構築が強く必要になる。自分だけできれば良いという考え方から一段上から教室を見渡すことのできる視野が必要になる。

 課題を解決するために必要なことを考え、自分の思いや疑問を的確に表現でき、状況に応じて自分から動き、他者にも働きかけ協力して問題解決に取り組める。高校を卒業するまでにそんな人間になって欲しい。

 そういう人間を育てるために自分は高校教師という職業を選んだのだ。改めて認識することができた。そういう一日だった。