046 気持ちを引き出す 「仕事道楽」鈴木敏夫も良いなあ

先日ポッドキャストを聞いての感想をエントリにしましたが、そのきっかけは木下さんのエントリー*1でした。木下さんが取り上げていたスタジオジブリ鈴木敏夫さんの「仕事道楽」家にあったなと触発されて読み返しました。以前読んだときに印象に残ったところに線を引いたりページの端を折ったりしていたのでそこを中心に読もうと思いつつ気がついたら全部読みなおしていました。


そうしたら「ここは」という箇所がどんどん増えてしまいました。全部まとめて書こうと思ったらいつまでたっても書けそうにないので、書けそうなものから雑多に感想を書いていこうと思います。

 「全員に意見を言わせる」ーーーどんな小さな問題でも、その場にいる人全員に意見をききます。時間はかかりますよ。チラシのラフ一枚で、四、五時間かけたこともあります。でも、これは基本なんです。基本をやっておけば、その後は楽です。

ポッドキャストを聞くとわかりますが、多種多様な人たちが登場します。この人たちはきっと別の用件もあってジブリを訪れてきている人がほとんど。メインの用件があってそれとは別に(実は別でもなくて用件の延長線上で)ちょっとおしゃべりしませんかという余談の部分を長回ししているような気がします。


語尾が上がる特徴的なしゃべり方に一人一人に「○○さんは?」「なんで?」「どうして?」「どうやって?」「それで?」とつい話したくなる相づちや質問を投げかけているのがとても印象的でした。


鈴木さんの聞き方は「この人は聞いてくれるんだ」「興味を持ってくれるんだ」と感じられるもので、こんな風に聞かれたら自分の中を一生懸命探って掘って考えて誠意を持って答えたくなるだろうというものです。


それはその人が生きてきた背景・考え方・好きなもの・信条、もろもろひっくるめてその「人」のことが知りたい。という強い欲求が根本にあるように思います。その「人」のことをまるごと受け止めて、それを共有してそれからスタートしましょう。ということなんじゃないかな。


これは別の言い方をすると、きちんとチームになってから仕事をスタートしていることなんでしょう。ある一定の期間だけ一緒にいる余所の人、ではなくて仲間・同士・内輪・身内なんだという意識を持とうよという呼びかけにも思えます。一度一緒に仕事をしたらもう身内です、みたいな。


効率主義やあっさりした人間関係を好む向きには容易に受け入れられる考え方ではないかもしれないし、以前の僕もこういうのはイヤでした。が今現在の僕にとってはなんというかしっくりくる考え方だったりします。一見無駄のように見える時間を長くともに過ごすってすごく大事だと思っています。

仕事道楽―スタジオジブリの現場 (岩波新書)

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