「つながる脳」藤井直敬 著を読んだ

本書にはおそらくどの教科書にも、どの脳関連書籍にも載っていない、たくさんの荒削りのヒントが山盛りになっているのではないかと思います。ですから、そういうヒントを探すという目的で読んでいただくということが、正しい読み方なのではないかと思います。たとえ研究者ではなくても、誰にでも一つくらいはそういった考えるヒントが見つかるように、思いつく限りのことを書きました。P.274

先に読むのは変だよなとずっと思いつつも、本を手に取るとあとがきを先に読んでしまう派です。中山さん(id:taknakayama)のエントリ*1で興味を持ち、書店で手に取りいつものようにあとがきを読んでみました。僕は理数系は大変に大変に苦手意識が強いのですが、このパラグラフにたどり着いて著者の藤井直敬さんにも「大丈夫ですよ」と言ってもらえた気がして読んでみることにしました。


研究内容についてはやっぱり良くわからないこともありました。でもそういう箇所には、たいてい比喩や言いかえあって「なるほど!そういう感じなのね」と手助けしてくれます。より広い層の人たちに読んでもらいたいという著者の藤井さんの気持ちが込められていると感じました。


中山さんも紹介されていた2匹のサルの実験の話も良かったのですが、それ以上に興味を持って読んだのが第4章「仮想空間とヒト」と第6章「つながる脳」の2つ。以前読んだ「アーキテクチャの生態系」「失われた場を探して」とリンクしてくる部分もあるなと感じ、twitterFriendFeedなどのwebサービスを思い浮かべたり、攻殻マトリックスバニラ・スカイなんかも思い起こしながらの読書でした。

最後にもう一箇所だけ引用を。本書で一番「そうだ!その方向はものすごく楽しみだ!」と思った場所です。

ヒトが多様なのは当たり前です。多様性が重要だと声高に言うのは馬鹿げています。本来、脳の成り立ちから多様であるヒトを、多様でない生き物にしたのが、社会という構造です。(中略)
そんな脳が、適切な条件を設定してやれば仮想空間を現実空間と区別なく扱えるようになるのは当たり前です。もともとあらゆるものを自由に関連付けて独自の世界を作り上げた私たちが、仮想世界と現実世界を自由に行き来できないわけはありません。そう思いませんか?

つながる脳

つながる脳

失われた場を探して──ロストジェネレーションの社会学アーキテクチャの生態系――情報環境はいかに設計されてきたか