月曜日

月曜日の1限はいつに増して気合いを入れる。休み明けで生徒も切り替わっていないし、僕も少し昨日の休みを引きずっている。8時55分のチャイムと同時に、いつも以上に大きな声で意識して少し高めの声で「さぁ号令!」と声をかけると、「先生今日も元気だねぇ」「なんか楽しそうだねぇ」と先頭に座った生徒に言われる。


頭の数分でぐっと集中して漢字の小テスト、前回の質問紙の回答を返し、いくつかコメント。次いで宇治拾遺物語から「児のそら寝」の音読。「先生の授業は立ったり座ったりで眠れないからなあ」と文句を言いつつ、大きな声で読んでくれるのだからかわいらしい。そのあとはペアで音読のチェック。早々に終わったペアからは話し声も聞こえてくる。迷惑な音量になった生徒には、自然とまわりから「うるさいよぉ」の声が。


その後口語訳と文法の話。動詞の活用の入り口で、語幹と活用語尾の話と四段活用の活用表を作ってみようという内容。数分話すと「?」という顔をした生徒が出てくる。ノートの取り方がわからないのか、「え?なんだよこれぇ!」と声がする。「お前は地声大きいんだよ」「こう書くんだよ」とすぐに近くから声が。独り言なのか、僕に何か文句を言っているのか区別がつかない生徒に「文句?」聞くと、いやいやそうじゃないと首を振る。それを見て周りも面白がる。黒板を写すのを待っていると、「先生見えない」「え?」「先生見えないのでどいてください」「そうそう」…。何かあるとすぐに生徒は声に出す。


私語を許さず、静まりかえった教室で教師の話す声とノートを取る音だけが響く教室というのは、僕にはどうもやりにくい。静寂が必要な場面ももちろんあるけれども、僕の授業は割合生徒の私語が聞こえてくるかもしれない。その場その場でお互いに思ったこと、感じたことを気楽にきちんと発言できて応答があり納得があって、次の問いに移る。そのメンバーでその時間にその内容を学ぶのはその1回限り。授業は生徒と教師がその場限りで作り出すライブのようなものなのだから。


思ったことが発言できる雰囲気、その雰囲気に乗って、気楽に発言してみようとする生徒が最近になってようやく少しずつ増えてきた。教師の側に少しスキというか、弱みというかを見せると生徒もリラックスする。声が裏返ってしまったり、寝癖がついていたり、教壇から落ちそうになったり、漢字を間違えたり…失敗した教師を笑って生徒もリラックスする。失敗しても間違っても良いんだ、一緒にできるようになるんだ、という空気が共有できるとクラスの一体感みたいな物ができてきて、授業は一気に充実したものになってくる。


授業のラスト1分程度で、その日の50分の内容についての質問や意見や感想を書いてもらう。時間がないと数十秒でチャイムが鳴る。「じゃぁ続きは次回。号令!」という声にかぶせるように「なんか早かったなぁ」「もう終わり?」というつぶやきが聞こえてくると少し嬉しい。質問紙を読んで、内容をきちんと理解してくれているともっと嬉しいのだが、たいてい職員室の帰り道は、自分の教え方の下手さを反省することになる…。