「日々のこと」吉本ばななを読んだ


なぜこのステキな書影が表示されないのだろう、アマゾン。勿体無い。1988年から1991年までの日記風というか、日常をつづったエッセイ集。1964年生まれと言うから、24才ごろからの4年弱くらいまでの文章。

吉本さんの文章は、使われている言葉が平易で、とても読みやすい。ポンッと短文で言い切るところと、少し長めにつなげる文章のバランスがなんとも絶妙で、リズムが軽く心地良い。こんな風に書けたら良いなと思うけれども、自分でやろうと難しい。年齢のことを書いたのは、「文庫版のあとがき」の印象が強烈で、この文章を書いた自分を振り返って、

この本に出てくる、この素人くさく根性もなっていない文章を本当にこの私が書いたのだろうか。

と言い切る。あとがきの最後では、

人は、これほどまでに変わるのだから、人生はこれからどうにでも変化していくんだなあ、そういう可能性がいくらでも、今すぐにでも、あるんだなぁと思いながら読んで下されば幸いです。この本は、このあとがきとの対比のために読まれるべき本だなあ、と思います。

ともいう。このあとがきを読んで、本文を読むと、文章の手触りというか、感触というか、「確かさ」というか「自信」というか、に明確に差がある。しっかりとした、自分の核のある文章をかきたい、というよしもとばななの意識が垣間見える。

この本のあとがきと本文と読み通してみて、僕が24才の頃にネットに書いていた日記を読み直してみた。うわぁ・・・・。これは恥ずかしいですよ。今のこの文章が当時と比べて、多少なりとも上手になっていれば良いのだけど、このブログも数年後に読むと、同じような恥ずかしさを呼び起こすのでしょうか。

日々のこと (幻冬舎文庫)

日々のこと (幻冬舎文庫)