不倫と南米 世界の旅 (3)

不倫と南米―世界の旅〈3〉 (幻冬舎文庫)

不倫と南米―世界の旅〈3〉 (幻冬舎文庫)

住み慣れた場所を離れて、非日常の世界に立つことで見えてくるものがある。それは極々個人的なことであったり、誰にでもあてはまる普遍的なことであったりもするけれども、旅に出ていなければ見えてこないものであることは確かだろう。国内でも海外でもそれはいいのだろうし、極端な話、これは旅だと思えば、何だって良いのかもしれない。とはいえ、どこか遠くに行きたいなとも思わされたことも確か。

「不倫」そして「南米」大きなテーマ、というかこの短編集を縛るフレーズがそのまま短編集のタイトルとなっている。毎日を生きていくのは特別なことではないけれども、特別に思える瞬間が人生のあちらこちらで僕たちを待っている。後ろを向いて歩くよりもほんのちょっとでも前を向いて生きていこうよ、と言われているような気がした。

収められた7作品の中では、「電話」「ハチハニー」「窓の外」の3作品が特に響きました。日常との距離感だとか、旅先での不安な感じだとか、情景とか、想いがすっと浮かんできたのがこの3作品でした。この3作品も含んだ、それぞれの作品についてのコメントや、印象に残ったフレーズなど、以下のリンクから該当エントリでご覧いただけます。