使える読書

使える読書 (朝日新書)

使える読書 (朝日新書)

ゲド戦記では本当の名前を隠す。安倍晴明式神に言葉で形を与え、京極堂は表層に現れた事件に妖怪という形を与えることで憑物を落としていく。物に名前をつけることがある種の呪術や魔法だというならば齋藤孝氏は現代の魔法使いといえるかもしれない。

型にはめ、フィクションもノンフィクションもエッセイも自叙伝も芯になる引用文一文と、概念化されたキーワードひとつまでそぎ落とす。それがまた小気味良い。

いま、学校の先生に、「授業の始まりには先生方が読んだ本を3分間で紹介してください」という運動をやっています。これが広まると、生徒は知的好奇心が高まり、教養を身につける欲求も高まる。生徒たちはもっと読んでみようと思う。

これをすることで、生徒の知的好奇心をかきたて、読書の時間がとれない自身は短い時間でポイントを見つけ面白さを端的に伝える、「要約力」と「コメント力」が磨くことができるといっている。読書の時間も無理やり作ってたまった本を読んでいきたいところでもあるし、こういうことをやってみるのも面白いかもしれない。