今日の短編(15) レイモンド・カーヴァー「隣人」

他人の私生活を覗き見るうしろめたい誘惑。ちょっとしたいたずら心なのかもしれないけれど、いたずら心とひとくくりにできない思いを感じるのはうがちすぎでしょうか。
レイモンド・カーヴァー「隣人」 (Neighbors by Raymond Carver)

それから彼女はこう言った、「あの人たち帰ってこないかもしれないわよ」そしてそう口にした途端に自分の言葉にびっくりしてしまった。
「そうかもしれない」と彼は言った。「何が起こるかは誰にもわからない」
「あるいはあの人たち帰ってくるかもね、そして・・・・・・」しかし彼女はそこで言葉を切った。

頼むから静かにしてくれ〈1〉 (村上春樹翻訳ライブラリー)

所収。