バースデイ・ストーリーズ

バースデイ・ストーリーズ (村上春樹翻訳ライブラリー)

バースデイ・ストーリーズ (村上春樹翻訳ライブラリー)

誕生日をめぐる短編を13篇集めたアンソロジー集。誕生日だからといって、決して明るく、楽しい話ばかりでもない。誰の上にも時間は淡々と流れて、過ぎていくだけなんだ、それほど特別なことでもないんだ、別に。というちょっぴりペシミスティックな雰囲気を漂わせている気がする。

収録された作品の中ではラッセル・バンクスムーア人」、ダニエル・ライオンズ「バースデイ・ケーキ」、イーサン・ケイニン「慈悲の天使、怒りの天使」の3篇が、特に印象に残る、味わい深いものでした。どれも年老いた老女が登場しますが、彼女たちの「気が付けば、またこの日がめぐってきてたのね」的な、ある種のあきらめの観のようなものが、僕のどこかに触れたのだと思います。

毎日一遍ずつ短編を読み、読み終えた後に少し立ち止まり振りかえる時間も新鮮でした。自分の中に響いて、余韻を残した文章を確かめながらの読書もまた楽しいものでした。それぞれの作品についてのコメントや、印象に残ったフレーズなどを毎日記録してきました。以下のリンクからどうぞ。この試み、続けていきたいなと思います。