「分かりやすい文章」の技術

日記やメール、ブログなどの文章を書く機会がこの10年でぐんと増えました。増えはしたけれども、文章自体が上手になった、という実感はほとんどありません。昔の自分の文章を読むと、理解に苦しむものがたくさんあります。感情的だったり、論理的でなかったり、論旨に飛躍があったり、冗長だったり・・・。量をたくさん書くこともトレーニングの一つとしてありとは思いますが、理論というか、理屈もしっかり身につけたい、もっと分かりやすい文章を書けるようになりたい、と思って手に取ったのがこの1冊でした。

この本では、「分かる」ということを「短期記憶(一次記憶)」で処理された情報が「長期記憶(二次記憶)」に格納される瞬間と説明しています。ん?分かりにくい要約ですね。
人が外界から得た情報はすべて短期記憶と呼ばれる場所、いわば「脳内関所」を通ります。「脳内関所」で、情報の種類や内容が分類された後、長期記憶(「脳内辞書」)と呼ばれる場所に格納されます。「脳内辞書」は何種類もあって「車の運転に仕方」とか「好きな歌の歌詞」などのカテゴリーごとにわかれてたくさんあります。そのカテゴリーごとに分かれた「脳内辞書」に情報が格納された瞬間が「分かった!」なわけです。つまり、

「分かりやすい」とは、外界からの情報が「脳内関所での審査が楽で、脳内辞書内の一致する項目を見つけやすい」ということです。

また、ある文章を「分かる」ということにも「点の理解」と「線の理解」の二種類あるともいっています。ある文章に書かれている意味内容がただ単に「分かる」という「点の理解」。文章の因果関係を理解してそれに同意・納得させる「線の理解」という二つです。

まとめると、「分かりやすい文章」とは、読んでいてすらすらと意味がわかり、書き手の意図も理解でき、同意・納得できる文章。ということになります。(意図だけ伝わればいい、同意の必要のない文章もありますが)そんな「分かりやすい文章」を書くための18のテクニックが紹介されています。

読み手を説得する18のテクニック

  • 趣旨を素早く伝える「構成の技術」
    • テクニック 1 まず重要ポイントを書き並べる
    • テクニック 2 要点を先に、詳細は後に書く
    • テクニック 3 不必要な情報を書かない
  • 読む気にさせる「レイアウトの技術」
    • テクニック 4 改行したり空白行を入れる
    • テクニック 5 親子関係・並列関係を明示する
    • テクニック 6 「かたまり」を明示する
    • テクニック 7 見出しをつける
  • 読み手を同意させる「説得の技術」
    • テクニック 8 正確な論理で書く
    • テクニック 9 読み手の視点で書く
    • テクニック 10 自分の感情は抑えて書く
    • テクニック 11 比喩を使う
  • 趣旨をスムーズに伝える「センテンスの技術」
    • テクニック 12 センテンスを短くする
    • テクニック 13 事前分解しておく
    • テクニック 14 曖昧さをなくす
    • テクニック 15 キーワードを作る
  • 文章をなめらかにする「推敲の技術」
    • テクニック 16 無駄を削る
    • テクニック 17 自然な語感にする
    • テクニック 18 丁寧に表現する