23/50「木に学べ―法隆寺・薬師寺の美」
- 作者: 西岡常一
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2003/11
- メディア: 文庫
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表紙は法隆寺五重塔の隅木(すみき)を下から仰ぎ見たもの。各階の四隅の角の部分を隅木(すみき)というそうだが、その隅木が一番上まですーっと一直線に並んでいる。木のクセを見抜いて組んでいるから建築から1300年たった今でも一直線にすっと揃っているのだそうだ。見事。
棟梁というものは何かいいましたら、「棟梁は、木のクセを見抜いて、それを適材適所に使う」ことやね。
木というのはまっすぐ立っているようで、それぞれクセがありますのや。自然の中で動けないんですから、生きのびていくためには、それなりに土地や風向き、日当たり、まわりの状況に応じて、自分をあわせていかなならんでしょ。
(中略)
木のクセを見抜いてうまくくまなくてはなりませんが、木のクセをうまく組むためには人の心を組まなあきません
仕事とは「仕える事」と書くんですわな。塔を建てることに仕えたてまつるいうことです。もうけとは違います。
この法隆寺の建物には、創建当時の飛鳥のものもあれば、藤原時代のもの、鎌倉、室町、江戸時代、大正、昭和と各時代に修理されとるのやが、その時代時代の美に対する考え方や、建築物をどう考えとったかがわかるわけや。
建築に対する考えだけでなく。仕事に対する姿勢やモノに対する考え方など勉強になるところが多い。喝を入れたい時に読み直したい本になりそう。