22/50「海馬―脳は疲れない」

海馬―脳は疲れない (新潮文庫)

海馬―脳は疲れない (新潮文庫)

非常におもしろかった1冊。中でも即座に授業に使えたのが次の一節。

脳みそには「側坐核(そくざかく)」という「やる気」を生み出す場所があります。ここの活動が活発になると、やる気がどんどん出てくるのです。ただ、この「側坐核」ある程度の刺激が来た時だけ、活動をはじめる場所だという問題があります。つまり、面倒でも、やりたくなくても、一度はじめてみると、やっているうちに側坐核が興奮してきて、集中力が高まって気分が乗ってやる気がわいてくるという仕組みになっているそうです。ですから、「やりはじめなければ、やる気にはなれない」という事です。 

毎時間授業の後に書いてもらっている、感想や質問の神に、「やる気が出ない」、「めんどくさい」、と書く生徒がたくさんいます。そんな彼らに「なんとなく部屋の掃除をやり始めたら、いつの間にか一生懸命になっていた」という事例にしてこの話をしたところ、割合納得してもらえた模様。これまで、気持ちの持ちようとか、精神論といった観点で「イヤでもやりなさい」としか言われていなかったのが、多少なりとも理屈があるんだということが分かってもらえる、良い材料になりました。