第1次生産者の憂鬱

「ハッカーと画家」書評 - My Life Between Silicon Valley and Japan

 「凄腕のプログラマは半月で百万ドル相当の仕事をすることだってできるだろう。平凡なプログラマは同じ期間で、ゼロどころかマイナスの富を創ることだってある」「どの分野でも、技術は生産性の差を拡大する。プログラミングの世界で起こっているのは、単に技術による梃子の効果が非常に大きく効いているってことだ。あらゆる分野でこの梃子は次第に長くなっており、したがって時が経つにつれ、より多くの分野でこのような差が見られるようになってゆくだろう。そして、会社や国の成功も、この効果をどう扱うかにより大きく依存するようになってゆくだろう。」

 ハッカー独特の「容赦のなさ」がよく表れた文章だが、超一流と凡庸の差に関するこの記述は完全に正しい。しかし現代社会・現代組織は、こうした巨大な実力差をそのままに評価して報いる仕組みをほとんど持たないので、ハッカーの苛立ちは収まることがない。