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「小澤征爾さんと、音楽について話をする」を読みながら

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11月29日から3泊4日で台湾に行ってきた。発売は翌日30日だが、あったら嬉しいと入った出発ロビー側書店では見つけられなかった。出国してから入った本屋では平積みされており確保、往路の機内で読みふけった。話題に上がっている作品を聴きたい思いで一杯になりながら読み進めた。熱心なクラシックの聴き手としての村上春樹の、(病気療養で音楽活動を制限され)時間が出来たマエストロ小澤征爾との音楽の話ができることの喜ばしさに満ちた一冊。言及される作品やCDを聴きながら読めばさらに濃密な時間が過ごせるだろう。


「第一回 ベートーヴェンのピアノ協奏曲第三番をめぐって」は春ごろのモンキービジネスに掲載され、興味深く読んだ。以来クラシックといえば幾枚か手に入れたこの協奏曲を聴くという日々が続いている。対談の中では微に入り細を穿ち演奏や演奏者による作品観の違いについて語られている。対話の内容について、なるほどそういうことかと共感し納得する機会がそれほど多くないのが難点で、しかしそれは僕の耳が鍛えられていないのが一番の原因。それぞれの演奏はなんとなく違うような気はするものの、ブラインドで聴き比べたら僕にはきっと判別できない。それでも聴き比べながらこの本を読むのはとてもとても楽しい。横に楽譜を置いて眺めながら過ごすとさらに楽しそうだと考えるとより深みにはまってしまいそうだ。

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「1959年の演奏です。グールドとバーンスタインニューヨーク・フィルの正規スタジオ録音です」ベートーヴェンのピアノ協奏曲第三番についてはこのアルバムについての言及が一番長い。是非聴きながら読みたいと探したが見つけろことが出来なかった。同じ組合せで第四番のアルバムはあるのだが、第三番は見つけられない。アマゾンでこれだろうと思い購入したものも違った。


ニューヨーク・フィルではなく、コロンビアシンフォニーオーケストラとの演奏だった。ライナーノーツを見ると1959年5月4,5,8日にニューヨークのコロンビアスタジオで録音されたグールド、バーンスタイン、コロンビアシンフォニーオーケストラの組合せ。データ的にはとても近いのでひょっとしたら村上春樹小澤征爾が聴いたのもこのアルバムではないだろうかと思っているが、実際はCD化されていないアルバムをLPで二人で聴いていたと言うところなのかもしれない。

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ともあれ、村上春樹(の小説以外の文章も)好きでなおかつクラシックも好きという方には何十時間も、人によっては何百時間も楽しめるであろう底の見えない深い深い音楽の喜びに満ちあふれた一冊。