060 会って話すこと、記録すること「仕事道楽」鈴木敏夫から その4

スタジオジブリのプロデューサー鈴木敏夫さんの著作から想起したことのその4です。高畑勲宮崎駿との出会いの頃を振り返ってかかれた箇所から。1970年代の終わりくらいのようです。両氏と対等に話ができるようになりたい。彼らの知識や教養を共有したいと思った鈴木さんがとった手段。

それでまず、取材記者だったという経験を生かして、二人が言ったことは全部「取材ノート」に書きまくった。彼らを深く知るにはそれがたぶん早道だし、それしかないと思ったんです。しゃべっていることもとにかくメモしまくる。しゃべる口調、しゃべり方も大事なことですから、しゃべり言葉のまま書きとめる。けっこう大変でしたよ。宮さんの場合はしゃべるのが速いし、高畑さんは高畑さんでしゃべる時間が長い。必ずいつも三時間なんですから。

話を聞きながらメモを取るのは容易ではない。以前山田ズーニーさんのポッドキャストを聞きながら内容をまとめるメモを作ったことがある。そのときはだいたい20分のポッドキャストを行きつ戻りつしながら1時間はかかっていた。聞き直しもたくさんでてくるし、知らない固有名詞を調べていると想像以上に時間をとる。


ポッドキャストやテレビのドキュメンタリ番組をを見ながら印象に残ったシーン、言葉をメモして書きためたことも合った。漠然と見たり聞いたりしているだけではふとした瞬間に過ぎ去ってしまう言葉が、文字にして書き残すことで、自分の中に確かな形として姿を表す。理解を深めることも時にはある。数年たっていてもその内容を思い出すフックになる。


ある人の事を深く知りたいと思ったら、たくさんの時間をかけるしかない。生の言葉には呼吸や息づかいや抑揚や声の大きさや身振り手振り、感情や気分が大きく現れている。この人がこんな事を言うんだ。この人がこのタイミングでこういう言葉を発するんだと聞いていくことは大きな宝になるだろう。そんな訳で今日もポッドキャスト鈴木敏夫ジブリ汗まみれ」を聞きながら帰る夜。