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047 緊張にさらされて力をためる

生徒たちには小さなストレスにさらされて力を発揮しなければならない経験をたくさんしてほしい。学校生活の中でその機会をたくさん作りたいという話。


今年も授業で取り上げた作品を暗誦してもらっている。昨年は「奥の細道」の冒頭を取り上げた。*1 今年は唐詩を覚えてもらっている。七言律詩の「香炉峰下新卜山居、草堂初成、偶題東壁」と七言絶句の「送元二使安西」の2編。授業でも音読に取り組み大きな声で読めているので容易かというとそうでもない。音読では全体で読んだ後ペアワークで読みの確認もしている。けれどもこの読みの確認をきちんとやるかどうかは生徒たち次第。暗誦テストをするとそこの取り組みの成果が如実に現れる。


僕はできるだけプレッシャーも与えないように小さくなって黒板の前に座る。ストップウォッチで時間をはかりながら生徒の暗誦を聞く。多くの生徒が僕の前に立つと緊張して覚えていたものが出てこなくなる。一回当たり律詩は50秒、絶句は25秒。制限時間内はいい間違えも言い直しもOK。何十回かかってもいいからとにかく僕に聞かせにおいでと声をかけている。


生徒たちの姿はまちまちで、考えもしないでほんの1、2秒で「むり」とあきらめてしまう生徒もいる。飛んだり跳ねたり回ったりしながら制限時間ぎりぎりで合格するものもいる。教室の後ろの方でじーっとこちらを眺めてはいるけれど絶対授業中にはこない生徒もいる。


皆が「ここにくると緊張する」声をそろえて言う。または「合っていたら相づちして安心させてください」と言う。当たり前のことではあるけれど一回で合格したい。失敗したくないという気持ちが強いのだろう。でも余りにその気持ちが強すぎるように見えて少し考えてしまう。


合格者が少しずつ増えてくるに連れて生徒たちの顔つきが変わってくる。「なんだかんだ言って皆やってる。合格してる。このままではまずい」その雰囲気が教室に出てくると後は早い。今日は教えている全クラスでこの空気ができた。


何度でも失敗して失敗して失敗してそれでもいい。友人と助け合ってこの小さな緊張に打ち勝って欲しい。何十回何百回かかってもいい。とにかく緊張の舞台に立つ経験を積み重ねていって欲しい。