宮本常一が撮った昭和の情景


昭和35年(1960年)10月26日、周防大島山口県)で撮られた1枚。船に乗った子供たちがいい顔をしている。こんな表情を撮りたいと思った。

「(石崎さんの家へ)あるいて行こうとしたら、船を出してくれるという。ちょうど学校の退校時だったので、『江ノ浦まで船が出るぞォ』と叫ぶと子供たちがどっとやって来て船に乗った。そしてはしゃぎまわった。船には5、60人あまりも乗ったであろう。船が江ノ浦へつくまでの間しゃべりふざけ、少しもじっとしていなかった。ここでは子供たちも自然のままであった。そして人間にとって、もっとも大切な素朴さが一人一人の中に生き生きとしているのを見た」(『私の日本地図9』)


上巻の中表紙にオリンパスのペンSを手にした笑顔の宮本常一が写っている。この顔で撮られたら写される方も笑顔になるだろう。

「あっと思ったら写せ、おやっと思ったらシャッターを押せ」

昭和30年から昭和55年までの25年間に撮影された10万点の中から上巻400点、下巻450点を抜粋した2冊。

宮本常一が撮った昭和の情景 上巻

宮本常一が撮った昭和の情景 上巻

宮本常一が撮った昭和の情景 下巻

宮本常一が撮った昭和の情景 下巻