日の名残り
「人生、楽しまなくっちゃ。夕方が一日でいちばんいい時間なんだ。脚を伸ばして、のんびりするのさ。夕方がいちばんいい。わしはそう思う。みんなにも尋ねてごらんよ。夕方が一日でいちばんいい時間だって言うよ」
「わたしを離さないで」の読後のインパクトに打ちのめされて、この作家の作品をもっと読みたい!と買い込んできたうちの一冊。その年に出版された最も優秀な長編作品に贈られるという、イギリスで権威のあるというブッカー賞の1989年受賞作。
過ぎ去っていってしまって、今はもうないものへの郷愁。主人公の老執事、職務に忠実であろうとするばかりにかたくなな一本木な人間になってしまったのでしょう。「わたしを離さないで」も良かったですが、これはこれで、趣き深い作品でした。