小林秀雄全作品から(11)「栗の樹」

小学校までは徒歩7,8分、中学校も15分はかからないところだった。毎日、毎日、毎日通っていたのももう随分昔のことで、あの道を歩いたことはずっとない。通学路の景色を思い出しながら、また歩いてみたい気持ちになった。

彼女は、毎日、人通りまれな一里余りの道を歩いて、小学校に通っていた。その中途に、栗の大木があって、そこまで来ると、あと半分といつも思った。

さて、私の栗の樹は何処にあるのか。

小林秀雄全作品〈21〉美を求める心

小林秀雄全作品〈21〉美を求める心

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