今日の短編(42) レイモンド・カーヴァー「頼むから静かにしてくれ」

聞かずにいたほうが、知らずにいたほうが幸せなことが人生には訪れる。心の底にそのまた奥のほうにそっと隠しておいた方が良いのだろう。
レイモンド・カーヴァー「頼むから静かにしてくれ」(Will You Please Be Quiet, Please? by Raymond Carver)

人生は生半可なものではない。それは船出をしたばかりの若者に対して力と目的を強く要求するものであるし、また努力の上にまた努力を重ねなくてはならない作業なのだ。そんなことはみんな知ってはいる。しかしなおかつ、それはやればやっただけの報いのあるものなのだ、と。父親はそう言った。彼はまた本当にそう信じていたのだ。

「どうしてこんな話になっちゃったのかしら?」
「君が持ち出したんじゃないか」と彼は言った。

頼むから静かにしてくれ〈2〉 (村上春樹翻訳ライブラリー)

頼むから静かにしてくれ〈2〉 (村上春樹翻訳ライブラリー)

所収。