今日の短編(37) レイモンド・カーヴァー「鴨」
レイモンド・カーヴァー「鴨」 (The Ducks by Raymond Carver)
死を間近に感じることは、今の僕らの生活ではほとんどないけれども、それでも、そのことを考えるというか、感じる気持ちは忘れちゃいけないよな、と思う。メメント・モリ。
「僕も同じことをみんなに言ったんだ。家に帰れるのは嬉しいけど、なんてひどい話だろうって」彼は椅子の中でじりじりと体を動かした。「つまりさ、おおかたの連中はたぶんそのまま働きつづけたと思うんだよ。でも製材所の職工のうちの何人かは働くのは嫌だって言った。あんな風に人が死んだのに、そのすぐそばで何もなかったみたいな顔して働き続けることなんかできないって」
- 作者: レイモンドカーヴァー,Raymond Carver,村上春樹
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2006/03
- メディア: 新書
- 購入: 4人 クリック: 20回
- この商品を含むブログ (38件) を見る