頼むから静かにしてくれ 

頼むから静かにしてくれ〈1〉 (村上春樹翻訳ライブラリー)

頼むから静かにしてくれ〈1〉 (村上春樹翻訳ライブラリー)

中央公論新社村上春樹翻訳ライブラリーの1冊。カーヴァーのデビュー短編集を二分冊にした一冊目。以前ハードカバーで村上春樹翻訳のレイモンド・カーヴァー全集が出たときには手が出せなかったが、新書サイズで安価なこのシリーズは気軽に楽しめてとても良い。カーヴァーの作品は今日の短編(10) レイモンド・カーヴァー「風呂」 - 繭八庵@Hatenaをでも、唐突なラストシーンの印象が強かったが、今回の短編集でもその印象に変わりはなかった。情緒的というよりは、乾いた冷徹な目で何歩も後ろから作品を見つめている。貧乏ではないし、仕事もきちんとしている、日常に大きな不満なない、そんなアメリカ社会の中流階級の言葉にならない不安やおそれややりきれない思いが時にユーモアも交えた文章でつづられている。ような気がする。「でぶ」「そいつらはお前の亭主じゃない」「収集」の3作品は特に印象が強い。

それぞれの作品についてのコメントや、印象に残ったフレーズなど、以下のリンクから該当エントリに。