今日の短編(26) レイモンド・カーヴァー「サン・フランシスコで何をするの?」

「自由っていったいなんだい。どうすりゃ自由になるかい。」尾崎豊がいつかそう歌っていた。そりゃ一日中なにもせずぶらぶらしているのもいいけれども、そういうのは3日もすれば飽きる。肉体的にも精神的にもどこか淀んでいくような、腐ってくるような気がしてくる。今日を生きのびるためにしなければいけないことをする時間があるからこそ、その反対側にある自由がより素晴らしいものに見えてくる、そういうことはあるのだろうと思う。
レイモンド・カーヴァー「サン・フランシスコで何をするの?」 (Whatn Do You Do In San Francisco ? by Raymond Carver)

私はうわついた人間でもないし、また真面目一徹の人間というわけでもない。少なくとも自分ではそう思っている。今の時代においては人間はちょっと不真面目、ちょっと真面目という風にならざるをえないのだ、というのが私の信念である。そしてまた私は勤労の美徳というものを信奉している。それも一生懸命働けば働いただけのことはある。働かない人間は時間をもてあますし、時間をもてあますと、自分のことやら、自分の抱えた問題についてあれこれ考えすぎるようになる。

頼むから静かにしてくれ〈1〉 (村上春樹翻訳ライブラリー)

頼むから静かにしてくれ〈1〉 (村上春樹翻訳ライブラリー)

所収。